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それでも人生は続くのよ / それでもあなたは偉大だ

↑サッカーイタリア代表選手だったロベルト・バッジョ夫人アンドレイナ・バッジョの言葉とブラジル代表GKタファレルのことば。

誰かにこう言ってもらえるような人間に私はなれるのだろうか、なっていけるのだろうか……。
そうなれなくても「人生は続く」と、前を向ける心を持ちたい。

 
 


 
1994年FIFAワールドカップアメリカ大会の決勝戦。ブラジル対イタリア。
前後半、そして延長戦でも決着が付かず、勝負の行方はペナルティーキック戦に持ち込まれた。
イタリア代表キャプテン、バレージPKをはずすという波乱を予想させる幕開けだった。
お互いに4人ずつ蹴り終わった時点で、イタリアの成功は2本、ブラジルは3本。
次をはずせばブラジルの優勝が決まり、イタリアは敗れ去る……。
キッカーはロベルト・バッジョ。
試合会場のパサデナ、ローズボウル。9万を超える観衆が静かなるどよめきをもって見守る中、彼はゆっくりとペナルティースポットにボールを据えた。
後ろに下がって距離を取る。主審の笛が鳴り、会場のざわめきがうねりを起こす。
一歩二歩三歩……助走のテンポが徐々に上がっていく。
七歩八歩九歩……十歩目、彼の足がボールを捉える。
ボールはゴールへ……向かわなかった。
クロスバーの上を高く天高く舞っていった。
黄色と青のユニフォームのセレソンが歓喜を爆発させる。
バッジョは動くこともできず、腰に手を当ててうなだれていた。
自分のせいでチームが敗れた。
冷静に考えれば、彼がゴールしていても次にブラジルが決めればブラジルの勝利になったはずだ。
だが、彼はそう思わなかった。
彼のキックで試合が終わったのだ。
ずいぶん長く、バッジョは悄然としてうつむいていた。
自らをふり返り、自らに何事か問うているようでもあった。
何度もカリフォルニアの青い空に吸い込まれていったボールの軌跡を思い描いた。答えは出なかった。

やがて、ようやくといった態でバッジョは会場を後にする。
夫人が歩み寄ってきた。彼女の目は強かった。
ひとことだけ、夫にささやいた。
「それでも人生は続くのよ」
バッジョは顔を上げた。
PKをはずしてから初めて、彼の瞳に光が戻ったようだった。
ブラジルの歓喜の輪から一人の選手が抜け出し、バッジョに向かった。
彼は決勝戦をフルに戦ったセレソンの中で一人だけユニフォームが違っていた。濃い緑。
バッジョの最後のキックを正面から見ていた男。
ゴールキーパーのタファレルだった。
彼はバッジョにどう声をかけたものか一瞬ためらったが、すぐに表情を崩して言った。
「それでもあなたは偉大だ」
バッジョの瞳の中の光がまた少し強くなった。
これから生きていく間、何度もこのシーンを夢に見るに違いない。それはとてつもない悪夢だ。
しかし彼にはパートナーがいて、サッカーがある。
振り向くことを、ロベルト・バッジョはやめた。


「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」
                               ──ロベルト・バッジョ

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